幼少年から青年期 |
| 1909(明治42)年2月6日に父・大雄、母・チクの次男として大阪市で生まれ、2歳から16歳までの幼少年時代を郷里の佐名伝・浄迎寺(当時は宇智郡大阿太村に属していました)で過ごし、阿田小学校、五條中学校を経て、1927(昭和)年から1932(昭和7)年までの間、龍谷大学予科から文学部史学科に学び、西本願寺で得度しました。大学の卒業論文は「足利義政の研究」でした。 |
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作家としての才能 |
その後、浄迎寺住職でもあった父の後を継ぐことになりますが、僧籍に身を置きながらも文学の道を志し、作家としての才能を磨きました。1933(昭和8)年、24歳の時、自費出版でデビュー作『魑魅魍魎』を刊行(この頃は、「大岳」をペンネームにしていました)。
この年、妻・千代子と結婚。26歳から27歳まで、大阪府南河内郡天野小学校の代用教員を勤めながら童話作家連盟を結成し、同人誌「童話作家」を発行しました。続いて大阪府布施第三小学校訓導として勤務し、翌年臨時召集を受けて入隊。ここで、東大寺長老を務めた清水公照師(1911-1999)と親交を持ち、以後、終生にわたり交友を深めました。 |
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児童文学へのまなざし |
1940(昭和15)年、天王寺中学校で2年間教諭。1942(昭和17)年、再び臨時召集で中国を転戦し、1946(昭和21)年山口県仙崎港に復員。翌年からは県立吉野女学校(現在の県立大淀高等学校)で教鞭をとり、1964(昭和39)年で退職するまでの17年間に、数多くの創作童話を世に送り出しました。
1948(昭和23)年にはNHKラジオ放送の連続劇「清願寺の子どもたち」が始まり、翌年棟方志功(1903-1975)の装丁による『花ぬすっと』を百華苑から出版。以後、長編『みどりのランプ』(1959年)、短篇集『かたすみの満月』(1959年。小川未明文学賞の奨励賞受賞)、長編『ゆうやけ学校』(1961年。小学館文学賞を受章)と、活発な創作活動のかたわら、1960(昭和35)年には、川村たかし(1931-2010)らとともに近畿児童文化協会を結成。機関紙『近畿児童文化』を発刊しました。 |
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郷土史家として |
精力的な創作活動の一方、大淀高校歴史研究部の顧問としての活動も、並々ならぬものがあります。
1956(昭和31)年には吉野史談会を設立し、郷土吉野をテーマにした機関誌『吉野風土記』(1956-1968)の編集を開始しました(以後、第30巻まで刊行)。『吉野風土記』は、総勢約500名の執筆者が吉野地域の自然・歴史・文化をまとめたものです。なかでも、数多くの人々へのアンケート、著名人からのメッセージを載せた「第3巻:大峯論争(1957)」や、交流のあった福田定一(1923-1996。後の司馬遼太郎。当時は産経新聞の記者でした)のよせた文章も掲載されており、郷土文芸誌の歴史に残る貴重な雑誌です。 |
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仏典童話への開眼 |
| 1966(昭和41)年からは京都深草に居を構え、京都女子大学助教授、龍谷大学・大谷大学の非常勤講師を勤めました。同年『妙好人清九郎』を百華苑から刊行。1968(昭和43)年には幼年文学懇話会を結成し、「すねいる」を発刊(1973年まで)。その後、1971(昭和46)年に京都女子大学教授に就任。児童文学者として学会を指導するかたわら、民話や説話への関心を深め、1973(昭和48)に刊行された『大淀町史』文学編「大淀町の伝説と昔話」の担当として、町内に残っていた説話をまとめました。この頃からブッダの生前の物語である本生譚(ジャータカ)などの仏教説話をもとにした<仏典童話>の執筆を始めます。 |
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孤高の道へ |
1973(昭和48)からは、これまでかかわってきた様々な組織や団体からも退き、個人雑誌『まゆーら』(1989年まで)の執筆を始めました。「がまぼとけ」や「世界一の石の塔」、「月」シリーズ(後に「春風の子どもたち」として映画化されました)など、晩年を代表する名作が掲載されました(『まゆーら』は、1988年3月の第92号から千恵子夫人が編集者となり、第100号まで刊行されました)。
1974(昭和49)年に京都女子大学を定年退職後、奈良文化女子短大の教授となり、1977(昭和52)年に第1回正力松太郎賞を受賞。1980(昭和55)年には本願寺派教学助成財団名誉総裁賞を受賞。1986(昭和61)年には、梨山がひろがる佐名伝の大阿太高原に、名作「百羽のツル」の一節を刻んだ「花岡大学童話碑」が、清水公照師の揮毫を得て建立されました。
そして、その2年後の1988(昭和63)年1月29日、79歳の生涯をとじました。今も、地元佐名伝の墓地にひっそりと眠っています。 |
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大学さんの人と文学 |
1987(昭和62)年には、龍谷大学深草学舎図書館に寄贈図書による「花岡文庫」が開設され、1997(平成9)年に開館した大淀町立図書館にも、花岡大学についての図書を集めたコーナーが設けられています。
また、生誕100年の節目となる2009(平成21)年度には、大淀町文化会館等で「大学さんの人と文学」を知ってもらうための記念事業が催され、より多くの方々の心に花岡大学の作品とその魅力が広がりつつあります。
| 【参考文献】 |
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『花岡大学仏典童話全集1〜8』法蔵館 1979年
『花岡大学童話文学全集1〜6』法蔵館 1980年
『花岡大学続仏典童話全集1・2』法蔵館 1981年
朝枝善照監修『花岡大学研究 付著作目録』永田文昌堂 1986年
朝枝善照編「花岡大学年譜」『まゆーら』100号 まゆーら社 1990年
朝枝善照「花岡大学の文学と仏典童話」『原始仏教と大乗仏教』渡邊文麿博士追悼論集 1993年
花岡大学生誕100年記念事業実行委員会編『花岡大学生誕100年記念事業〜大学さんの人と文学〜記録集』2010年 |
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